「マインクラフト」が売れ続ける理由
スウェーデンのクリエイターが作った『Minecraft』
インディーゲームの存在を世間に知らしめたゲームといえば、スウェーデンのマルクス・ペルソンが開発した『Minecraft』だろう。普段ゲームをしないかたもゲーム名ぐらいは聞いたことがあるはずだ。
『Minecraft』は、箱庭的な世界で自由に遊ぶ「サンドボックス」(英語で砂場の意味)というゲームジャンルの“自由”の部分を極限まで高めたようなゲームだ。
マルクスが1人で制作し、2009年に発表した初期バージョンから、驚異的な自由度の高さがゲームファンの間で話題になっていく。
ウェブフォーラムでマルクスがNotch(ノッチ)のハンドルネームでプレイヤーと語り合い、意見を取り入れながら、新しい要素を加えたアップデートを繰り返すというスタイルも熱心なファンを生み出した。
たとえば、クリエイティブモードはファンの声から生まれた。同モードでは、体力、空腹度といったサバイバルの要素はなくなり、プレイヤーはすべてのブロックを無制限に使って、ひたすら建築に明け暮れることができるのだ。このモードの存在がのちに『Minecraft』の大ヒットに貢献することとなる。
『Minecraft』が他のゲームと大きく異なるのはそのプレイ感だ。メインとなるサバイバルモードでは、ゲーム自体に明確な目的はなく冒険に出るのも建物造りに精を出すのもプレイヤー次第。
世界を構築する立方体のブロックにはそれぞれ材質があり、森の大木からは木のブロックが、石壁からは石のブロックが取れる。羊を倒せば、羊の肉と羊毛ブロックになる。
そうして集めたブロックや素材を使って、さまざまなアイテムを作ることができる。
木を切って集めた原木から作った木材3つと羊毛3つを組み合わせるとベッドになり、そこで寝ることで体力が回復する。
3本の棒と2本の糸で釣り竿を作れば海で魚を釣ることができるといった具合に、作ったアイテムを使うことでやれることも増えていく。
SNSに動画や写真をアップしたくなるゲーム
次に何をすべきかの明確な指示はない。困ってる村人もいなければ、これ見よがしな大事件も起こらないため、至れり尽くせりな最近のゲームになれている人ほど最初は戸惑うことになる。
しかし襲いかかってくるモンスターから身を守るために簡易的な住居を建設する頃には、自分が作りたい建築物に必要なブロックがわかり、それを作るには何の素材が必要なのかがわかってくる。
素材を求めて探索することで、少しずつ世界が広がっていく。そうしてプレイヤーは広大な世界で好きなことを好きなようにやり続けるのだ。
2010年にアルファ版、同年12月にベータ版をリリース。2011年の1月には累計販売本数は100万本を突破。プレイ映像の配信や画像の利用を許可したことも人気に拍車をかけた。
アイデア次第でさまざまなことができるため、遊んでいると自分が作った建物の作り方などを動画や写真でアップしたくなる。
YouTubeには、クリエイティブモードで建築物を作る動画が溢れた。プレイヤーがウェブ上にアップした動画や写真が絶大な宣伝効果を生み、新たなファンを獲得、驚異的な大ヒットにつながっていく。
『Minecraft』を“デジタルショーケース”としてうまく利用
その後2014年に、『Minecraft』の開発スタジオであるMojang(モージャン)と共に『Minecraft』をマイクロソフトが25億ドル(2680億円)で買収。産みの親であるマルクスはこのタイミングでMojangを退社している。
以降はマイクロソフトが新たな要素を追加したアップデートを行ないながらさまざまなプラットフォームでリリースを続けている。
現在、マイクロソフトは最新技術を世に知らしめるデジタルショーケースとしても『Minecraft』をうまく利用している。
先週ベータ版がリリースされた『Minecraft Earth』はスマホを使ってAR(拡張現実)で『Minecraft』を遊ぶゲームだが、マイクロソフトが今年2月に発表したAzure Spatial Anchorsという技術を取り入れることで、現実の世界に配置したARのブロックは、センチメートル単位の精度で複数プレーヤー間でリアルタイムに同期することが可能となっている。
同社が開発を進める最新グラフィック技術のリアルタイムレイトレーシング(光線追跡法)もいち早く『Minecraft』に対応することが発表されるなど、ここ数年で『Minecraft』は同社の“顔”的な存在となった。
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Source: ゲーム感想・評価まとめ@2ch