『Atomic Heart』に人種差別的なアニメが登場することに対し開発元が謝罪
PC Gamerは先週、本作に登場する人種差別的なアニメへの批判に関する記事を公開した。問題の描写は「バイオハザード」風のセーブ部屋で観られるもので、この部屋では、1969年に放送が開始されたソ連時代のカートゥーンアニメ『ヌー・パガジー!』(日本語で「今に見てろ!」)の昔のエピソードを観ながら一休みできるようになっている。
このアニメは、ウサギを捕まえようと奮闘するオオカミを主人公にした、ソ連版『トムとジェリー』とも言える作品だ。問題の場面は、1978年に放送された第12話『博物館』に登場する。アフリカの部族民を人種差別的に描いた像が映し出されるのだ。Reseteraのユーザーは、このアニメを警告や脈絡なしにゲームに組み込んだことを批判している。
MundfishはPC Gamerの報道を受け、「私たちが配慮に欠けていたことを指摘してくださったPC Gamerの寄稿者の方に感謝しています。昔のアニメや音楽を使用することで、傷付いたり侮辱を受けたりした方がいるのであれば、申し訳ありません。該当部分は編集する予定です」と述べている。
ウクライナ政府は『Atomic Heart』の排除を要請
Mundfishと『Atomic Heart』が直面している問題はこれだけではない。Mundfishの公式サイトにはキプロスに本社があると記載されているが、ロシアにルーツを持っており、ロシア政府と関係している可能性も浮上しているため、ウクライナのデジタル変革省は同国内のデジタルストアから本作を削除することを求めている。
現在も続くロシアとウクライナの戦争を受け、多数のゲーム・エンターテインメント企業がロシアでのサポートを撤廃し、ウクライナへの支援を呼び掛けている。これまでには、ウクライナ政府が「すべてのゲーム開発企業とeスポーツプラットフォーム」に対して、ロシアでの事業を一時的に停止するよう呼び掛けたこともあった。
今回、戦争におけるゲーム業界の役割に関して、『Atomic Heart』が注目の的になっている。PCGamesNの報道によると、ウクライナ政府はValve、マイクロソフト、ソニーに対し、ウクライナのデジタルストアから本作を削除するよう求める公式書簡を送付する予定で、あわせて他国での販売の制限も検討するよう求めるという。
なおデジタル変革省は、本作の「有害性」と、ロシア政府が本作の販売により金銭的利益を得る可能性を顧みてこの姿勢を示している。
「有害なゲームであること、ユーザーのデータを収集している可能性があること、ゲームの売上金がウクライナとの戦争を行うために使用される可能性があることから、他国での同作の販売を制限することを要請します」とデジタル変革省の副大臣を務めるアレックス・ボルニャコフは述べている。
この声明はもともとウクライナのテクノロジーサイトDev.auに掲載されていたもので、PCGamesNはウクライナ政府から直接英語版を入手した。
声明には続けてこう書かれている。「報道によると、本作はロシア企業からの資金提供を受けて開発されたとのことです。そのため、全世界のユーザーにこのゲームをプレイしないように呼び掛けています。また、この開発元が、プーチン政権や、ロシアによるウクライナへの侵攻を公に非難していないことにも注目していただきたいと思います」
ウクライナ情勢についてMundfishとXboxにコメントを求めたところ、どちらもコメントを控えた。ValveとPlayStationは、IGNの取材に応じていない。返答が得られ次第、記事をアップデートしていく予定だ。
なお、『Atomic Heart』の作曲を担当したミック・ゴードンは先日、赤十字のウクライナ危機支援に自身の報酬を寄付したことを明かしている。ゴードンは、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻する2年前の2020年にMundfishから連絡を受けたとのことだ。
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Source: ゲーム感想・評価まとめ@2ch