キングダムハーツ関係者「野村さんのイメージに寄せる作業が辛い、どうしていいか分からなくなる」
石元
『KH』の楽曲は、すべての曲をディレクターの野村さん(野村哲也氏)がチェックするんですが、楽しい曲を作るにしても、
僕の思う楽しい曲と野村さんが思う楽しい曲とはまた違うので、一度アタリをつけて、そこから野村さんのイメージに寄せていかないといけないんです。
『KH』シリーズはこの寄せていく作業がたいへんですね。
下村
つまり面倒くさいってこと?(笑)
石元
いやいや、そんなことは言ってないですよ(笑)。
かなり気合が必要というか、どうしていいかわからなくなってしまう人もいると思うので、僕らスクウェア・エニックスのOBやOGだからこそ汲み取れるのかな、と思いますし。
野村さんも多分、それがわかっているので、ハードルを上げてくるんだと思います。
――全曲をチェックして、フィードバックを返すのもスゴいですね。
石元
そうですね。オープニングやエンディング、トレーラー用の曲など、ピンポイントな曲だけチェックするディレクターも中にはいると思いますが、
『KH』に関しては、ほぼ全ての曲をチェックしてますね。
ディレクターとしてのこだわりなんでしょうね。
――そうした野村さんのこだわりは、ゲームにおける音楽をかなり重要だと思っていることの裏返しだと思うんですが、印象深いリテイクはありましたか?
下村
イントロがどうとかサビがどうとか細かいことは言わずに、「曲はいいけど、これがこのワールドのテーマである理由がわからない」とか言うんですよ。
なので、哲さん(野村哲也氏のこと)の中で「このワールドに関してはこういう曲」というイメージがあって、それもひとつの『KH』らしさになっているのだと思います。
石元
僕は「もっと『KH』っぽくならない?」というふうに言われて、「それはつまり下村さんの音楽っぽくということ?」と
悩みながら何とか形にして、それに対するフィードバックを受けてまた修正して、というくり返しでしたね。
関戸
僕も1テイク目でオーケーが出ることは稀で、ひとつのオーダーに対して最初に数曲作ることもあります。
グミシップのときにも3曲作って、そのうち2曲は「キレイだけど楽しそうじゃない」ということでアウトテイクになりました(笑)。
――きびしい(笑)。
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