正社員前提「紹介予定派遣」の雇用拒否、任天堂を提訴…地位確認求め保健師2人
訴状によると、2人は2回の面接後、半年間の派遣が決まり、2018年4月から人事部で勤務。社員の健康指導などを担当したが、同9月、人事担当との面談で「産業医と協力体制を構築できなかった」として直接雇用を拒否され、派遣契約を打ち切られた。
原告側は、業務連絡のささいな行き違いをきっかけに2人が産業医から無視されるようになったほか、カルテ整理以外の仕事を与えられなかったり、ミーティングに参加させてもらえなかったりするパワーハラスメントを受けたと主張。「産業医との関係は雇用拒否の理由にあたらない」としている。
さらに「派遣会社抜きで任天堂だけが面接しており、派遣制度を逸脱した実質的な採用行為」として、直接雇用するよう訴えている。
任天堂はこれまでの話し合いで、パワハラを否定する一方、解決金50万円の支払いを提案したが、2人は応じなかった。同社は「現時点でコメントすることはない」としている。
紹介予定派遣について、「正社員採用前提」と説明する求人情報サイトも少なくないが、厚生労働省によると、2018年度に同制度で派遣された約3万7000人のうち、実際に雇用されたのは約1万9000人。原告弁護団長の岩城穣ゆたか弁護士は「正社員の試用期間のようなものなのに、派遣先が責任を負わない企業優位の制度になっている」と指摘している。
◆紹介予定派遣=派遣労働者として派遣先の企業で最長6か月働き、本人と派遣先企業が合意すると、直接雇用される労働者派遣法の制度。企業と労働者が互いを見極める「お試し期間」との触れ込みで2000年に導入された。通常の派遣と異なり、派遣先は派遣会社と一緒に労働者を面接するなどして選考できる。
読売新聞 2020/09/03 07:24
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200903-OYT1T50092/
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